Twitterには収まらないうだうだを書く。Twitter:@motose__

近況_20220724

身体的な限界を迎えていました。どうせ研究室で吐くので朝食は水、昼食は無し。最低限の作業を行ってすぐさまトイレに駆け込み胃袋を絞り上げ、昼食をとって帰宅する生活がどうみても異常であると気付くまでに2週間かかりました。それでも指導教官は過剰なタスクを要求するので、私は指導教官には告げずに研究室唯一の日本人と、全体の監督者である教授に相談をしました。そしたら指導教官が研究室のルールを幾つも破っていることが発覚。すぐさま休暇を取る、そして実験室には行かないよう指示されました。正直ホッとしています。他者に相談したことはあえて言わず、「体調不良で大学に来るだけで嘔吐してしまうのでしばらく静養する」とだけ指導教官にメールしたら「君の体調を詳しく聞きたいので来週大学に来ること」との返信が来ました。ああ、成る程。確かにこの人間は論文を書く能力はある、しかし人間としてはゴミだとはっきり感じ取りました。私の身体を破壊する人間に対して慈悲を向けるつもりは一切無いので、教授には指導教官を変更する可能性も考慮して対応してもらえることになりました。指導教官の声すら聞きたくないので「スマホは電源を切っているのでメールでの連絡のみ対応する」と連絡しましたが、しつこく電話を掛けてくるのは何が理由なのでしょうか。着信を全て無視していたら、今度はメールで「To have confident is the key」と言ってくる始末。人間というのは自身と他人の相違にこんなにも気づけないものなのでしょうか。自身に誇りを持っている人間は勝手に上を向いていろ。そのような生き様は間違いではないにせよ、正解ではない。私には私なりの生き方がある。だから邪魔をするな。私を傷付ける資格は他ならぬこの私だけが持つ。

本州では記録的な猛暑によって日夜茹でダコが生まれているようですが、こちらは寒くて夜中に目が覚めてしまいます。私の体調不良も理由の一つでしょうが、とにかく日中に汗をかくことすらありません。私が東京に住んでいた頃の気温と比較すると、今の北海道の気温は東京の3月中旬のそれと等しいです。暑さにうなされて眠れない夜を経験しないのは、それはそれで良い事です。しかし私の記憶に刷り込まれた「夏」が経験できないことにもどかしさを抱いています。何しろ今更紫陽花が咲き始める土地です。この時期東京では蝉達がスコールのように人間の鼓膜を叩き続け、その生命力に圧倒されていることでしょう。一応こちらでも蝉を聞くことができました。疲弊して研究棟を出ると何処から蝉の声。誘われるがままその発生源たるポプラの木へ向かっても蝉の鳴き声は増えず、根元に到着しても一匹の蝉が寂しく鳴いているだけでした。私にとって蝉時雨とはJR新宿駅のホームで聞くことができる、絶え間ない音の奔流と似ています。普段は鼓膜を振るわせても脳がそれを音と認識しない。けれどもふとした時にその音達を捕らえてみるとその複雑さに思わず立ち止まらせる、線路の音、室外機のうねり声、そして人間達の喧噪といったように、集団になって初めて完成する音の集合体です。森を埋め尽くす蝉達が居て初めて蝉時雨は実体を持ちますが、一匹だけの蝉はそのような音の流れを作りません。あまり利用者がいない地方都市の駅前で青年が弾くギターのように、一匹の蝉が音を生み出すことは寧ろ寂寥を助長してしまうのです。幸いにも今年の夏は東京へ行けるようなので、恐らく5年ぶりの蝉時雨を感じることができることでしょう。実家に帰ることは正直煩わしいのですが、これはトレードオフと思って受け入れるつもりです。

春から共通講義で意識と脳についてという、極めてあやふやな概念を学んでいます。脳の物理的欠損によって生じた現象から、精神疾患による意識変容、そして感情を科学する実に興味深い講義です。詳細を此処に書くのは疲れるのでやめておきますが、講義を受ける度に自身の存在があやふやで、私を形作る重要な要素でもある感情はつまるところ生存に繋がる行動を惹起する為の現象に過ぎないらしいです。感情の存在はヒトが高等生物であることの証左と見なされ、感情を持つ生物は消費されるべきではないという姿勢が一般的常識のようですが、果たして感情とは一体何なのでしょうか。そして感情を持つことが多の生物に対する優位性を保証するのでしょうか。そうやって知識を消化してゆくと、私のような愚人は自身の存在意義を少しずつ奪われるような感じがして少し嫌な気分になります。脳は生存のためにあらゆる無駄な機能をそぎ落とし、結果我々はその欠陥に気付くことも無く幸せに、そして和やかに生きるでしょうか。

休暇を手に入れたとはいえ、講義は受けなければならないので積み重なったレポートに四苦八苦しています。今年の夏は例年よりも激しいので体調にはどうぞお気を付けて。私は不健康ですが。