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ピアス

※耳に針を貫通させる画像があります

 

ピアス。それは合法的に、正確に表現すると正当な理由を付けて己を傷つけることができる行為である。私のように気が狂った人間がこれを行わないはずがない。所詮私は人間の失敗作、害悪である。

ピアスと言われるとまず思い浮かぶのはイヤーロブ、つまり耳朶につけるピアスだろう。

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図1. 箇所別の名称

ピアス初心者の私も勿論耳朶にピアスを開けた。初めてのピアスはピアッサーを使い、1回で2カ所を開けた。文字通り初めてなのでピアッサーの扱いなど全く分からない。ピアッサーを耳朶にあてがい、どのような力であてがえば良いのか躊躇していたら、残念なことにピアスが完全には貫通しなかった。つまり完全に貫通させるために、半分ほど耳朶を貫いた針を完全に貫く必要がある。己の指を使って力任せに貫通させる時の感覚は正に快楽、そして耳朶を貫く「バツバツ」という音がとても心地良かった。

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図2. 文字通り腫れ上がった初めてのピアス  ホールの場所がダサい

イヤーロブのホールが完成するのは大体1ヶ月半、長くても3ヶ月程度。それまではファーストピアスと取ることが出来ない。けれども私は丁度予定となっていた解剖実習の為、死体に敬意を払うために、ピアスを開けて1ヶ月なのにそれを外してしまった。結果は明白である。自身の再生力をこれほど恨んだことはない。実習を終えて帰宅したらホールは完全に塞がっていた。それ以降耳に穴を開ける行為に興味は湧かず、別の方法で自身を傷つける事に躍起になっていた。傷を重ね、それに幸福と絶望がない交ぜになった感情を抱いていた時、たまたま講義でピアスのことが取り上げられた。話題に上がると興味が出てしまう。私の軽率かつどうしようもないこの性格がまた私を誘惑し始める。そうして私は耳朶に再び5つの穴を開けた。それでも満足しない。この時の感覚は今でも明確に覚えている。痛みが自身の原罪を薄くする感覚、そして直接的な快楽。これ以上ない幸福だったのかもしれない。

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図3. 耳朶に5つ 見た目が悪い

けれども、耳朶に5つのピアスは気味悪がられる。クラスメイトにも苦言を呈され、当然のように両親には拒絶された。そうして私はホールが完全に完成しないことを理由に、2つのホールを閉じた。

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図4. 反省も兼ねた3つのピアス

これにて耳を傷つける行為は終わったと私自身も思った。けれども、世の中には耳の軟骨部分に穴を開ける軟骨ピアスなるものが存在すると知ってしまい、自傷に並々ならぬ欲求を抱いている私はそれについて羨望ともとれる感情を抱いていた。折しも、研究室に配属されて教授の私的なマネジメントにストレスをため込んだ私は、とうとう(?)軟骨に14Gのニードルを刺すと決心した。部位はアウターコンク。耳の裏に消しゴムを添えて、キシロAを塗りたくったニードルを貫通させる。耳を貫通した感覚が全く無いので強くニードルを押しつけていたら、いつの間にか消しゴムにニードルが深々を突き刺さっていた。この時は全く痛みを感じず。痛みを欲していた私はその1週間後にまたアウターコンクを開けた。

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図5. 耳に針が貫通している様が実に面白かった

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図.6 さほど腫れ上がらなかった


満足する痛みを得られたが、残念なことに軸がずれてしまったようでマスクを取り外す度に紐が引っかかるようになってしまった。しかも、歯医者に行ったときにレントゲン撮影するからとピアスを外した時に再び出血してしまった。アウターコンクのホールが完成するには長くて2年は必要。なんだか面倒になってしまった私はアウターコンクの1つをはずした。

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図7.再び浮かれ上がる

 

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図.8 反省して1つ減らした図



長く付き合った病に別れを告げる日が近づきつつあり、同時に己を傷つける行為に疑問に抱き始めてもいる。つまり以降私が耳に新しい穴を開けることもない。今後立ちはだかるだろう就職活動も考えると尚更こんなことはしていられない。健常者に近づく為にはそれ相応の見た目が必要とされる。穴は減っても、増えることは無いだろう。自身が健常者になれることを願うばかりである。

 

 

健常者の皆様へ。ピアスは耳朶に1つ。両耳合わせて2つが限界だと思います。